パッチポイント（PlatinumおよびProfessionalのみ）

パッチポイントとは、オーディオをトラックアウトプット、バスアウトプット、またはセンドからオーディオトラックインプットにルーティングするために使用する、内蔵ルーティングパスです。これを使用して、仮想入力のインプットモニターや録音を行うことができます。パッチポイントは、仮想パッチケーブルであると考えることができます。

パッチポイントは、自由に作成、割り当て、名前変更することができます。この強力な内蔵ルーティングツールにより、SONAR内で新しい次元のコントロールを実現することができます。パッチポイントは、トラックとトラックの間、バスからトラック、センドからトラックへのルーティングに使用します。バスアウトプット、センドエフェクト、メトロノームなど、通常はオーディオトラックに録音できないオーディオ信号の録音に使用することもできます。

フィードバックループが発生するような形態でのパッチポイント割り当ては、SONARによって自動的に回避されます。

パッチポイントの用途について、いくつかのアイデアを次に示します。

作業にはトラックビューだけを使用し、バストラックに隣接して、対応するトラックのフォルダを配置する。このワークフローは、トラックからバスへのルーティングの代わりに使用できます。

エフェクトを含むボーカルトラックを別のトラックに録音する。詳細については、エフェクトが含まれたオーディオトラックを録音するを参照してください。

2つ以上のバックグラウンドボーカルトラックを1つのトラックに録音する。バスまたはエフェクトセンド用として、バスの代わりにバストラックを使用できます。詳細については、複数のトラックを1つのトラックに録音するを参照してください。

ボーカルトラックのエフェクトバスのみを録音する。詳細については、オーディオトラックのセンドエフェクトのみを録音するを参照してください。

メトロノームをオーディオトラックに録音する。詳細については、メトロノームをオーディオトラックに録音するを参照してください。

複数のオーディオトラックのボリュームを1つのフェーダーでコントロールする。詳細については、複数のオーディオトラックのボリュームを1つのフェーダーでコントロールするを参照してください。

ギターエフェクトのパフォーマンスをリアルタイムで取り込む。詳細については、ギターエフェクトのパフォーマンスをリアルタイムで取り込むを参照してください。

バスをサポートしないコントロールサーフェスで、代わりにバストラックをコントロールする。

タイムベースのエフェクトをリアルタイムで録音する。

オートメーションが不可能なプラグインパラメーターの変更を記録する。

バスをオーディオトラックに録音する。

複雑なリバーブやディレイをリアルタイムで記録する。

 

関連項目：

バストラック

バストラックを作成する

パッチポイント信号のフローチャート

新しいパッチポイントを作成する

パッチポイントの名前を変更する

既存のパッチポイントを割り当てる

パッチポイントの割り当てをクリアする

パッチポイントを削除する

エフェクトが含まれたオーディオトラックを録音する

複数のトラックを1つのトラックに録音する

オーディオトラックのセンドエフェクトのみを録音する

メトロノームをオーディオトラックに録音する

複数のオーディオトラックのボリュームを1つのフェーダーでコントロールする

ギターエフェクトのパフォーマンスをリアルタイムで取り込む

パッチポイントが使用されているオーディオをバウンス/エクスポートする

パッチポイントおよびバストラックのスマートソロ

以前のバージョンとのファイル互換性

 

バストラック

パッチポイントのワークフローを効率化するために、SONARではバストラックがサポートされています。バストラックは、他のトラック、バス、またはセンドからオーディオを受け取るために使用します。

サブグループ化やエフェクトセンドには、ステレオバスを使用することが一般的ですが、同じ目的でバストラックを使用することもできます。バストラックを使用すると、入力オーディオ（モノ/ステレオ）を録音できるメリットが加わります。バストラックは、トラック表示部またはコンソールビューで、他のトラックに隣接して配置することができます。

バストラックは、パッチポイントのインプットに自動的に割り当てられる通常のオーディオトラックです。バストラックの名前を変更した場合、割り当てられたパッチポイントの名前もにSONARよって変更されます。

バストラックを作成する

新しいバストラックにルーティングするオーディオトラック、バス、またはセンドのアウトプットコントロールをクリックして、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。

新規バストラックコマンドは、時間節約マクロとして使用できます。 新しいバストラックを作成すると、SONARによって次の操作が自動的に行われます。

バスn（"n"は連続番号）という名前の新しいパッチポイントを作成する。

ソーストラック/バス/センド出力を新しいパッチポイントに割り当てる。

バスnという名前（パッチポイントと同じ名前）の新しいオーディオトラックを作成する。バストラックの名前を変更した場合、対応するパッチポイントの名前もSONARによって自動的に変更されます。

新しいオーディオトラックのインプットを新しいパッチポイントに割り当てる。

新しいオーディオトラックのインプットモニターを有効にする。

デフォルトのバストラックアイコンを割り当てる。

これで、他のトラック、バス、およびセンドを自由にバスnパッチポイントに割り当てることができます。

図370. バストラック

A： オーディオトラックB： バストラックC： 有効になったインプットモニターD： バストラックアイコンE： 割り当てられたパッチポイント 

 

メモ：インプットコントロールがパッチポイントに割り当てられているオーディオトラックは、バストラックと見なされます。手動でカスタムトラックアイコンに割り当てていなければ、インプットコントロールがパッチポイントに接続されているトラックでは、デフォルトのバストラックアイコンが表示されます。

パッチポイント信号のフローチャート

複数のトラック、バス、およびセンドを同じパッチポイントに接続することができます。

トラック/バスのアウトプットおよびセンドはパッチポイントのインプットに接続でき、パッチポイントのアウトプットはオーディオ/バストラックのインプットに接続できます。

図371. パッチポイント信号の流れ

関連項目：

オーディオ信号の流れ

サイドチェイン信号の流れ

外部インサートエフェクトのオーディオ信号の流れ

 

新しいパッチポイントを作成する

次のいずれかを実行します。

オーディオトラックまたはバスのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規パッチポイントを選択します。

オーディオトラックのインプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規パッチポイントを選択します。

トラックまたはバスを右クリックし、センドの挿入 > 新規パッチポイントを選択します。

コンソールビューまたはインスペクタで、センドモジュールの上部にあるセンドの挿入ボタン をクリックし、ポップアップメニューから新規パッチポイントを選択します。

新しいバストラックを作成すると、接続の両端が自動的に作成されますが、新しいパッチポイントを作成した場合に自動的に作成されるのは、接続元のみです。新しいパッチポイントは、パッチポイントの作成に使用した、インプット、アウトプット、またはセンドに割り当てられます。接続を完了するには、パッチポイントの接続先を手動で割り当てる必要があります。

 

ヒント：クイックグループを使用すると、同時に複数のトラック/バス/センドを1つのパッチポイントに割り当てることができます。これには、複数のトラックまたはバスを選択し、Ctrlキーを押しながらパッチポイントの割り当てまたは作成を行います。クイックグループの詳細については、クイックグループを参照してください。Ctrlキーを押しながら新しいパッチポイントを作成した場合、新しく作成したパッチポイントに、すべてのセンド/アウトプットまたはインプットが割り当てられます。

有効なパッチポイント接続を次の表に示します。

表 173. 有効なパッチポイント接続 

トラック/バスコントロール	有効な接続先
オーディオ/バストラックのインプット	オーディオトラックアウトプット、バスアウトプット、センド
オーディオ/バストラックのアウトプット	オーディオ/バストラックのインプット
バスアウトプット	オーディオ/バストラックのインプット
センド	オーディオ/バストラックのインプット

パッチポイントの名前を変更する

オーディオトラックのインプットコントロールをクリックしてインプットメニューを開き、名前を変更するパッチポイントをポイントして、ポップアップメニューからパッチポイント名を変更するを選択します。

バストラックの名前を変更した場合は、対応するパッチポイントに、同じ名前が継承されます。バストラックと関係なくパッチポイントの名前を変更した場合は、それ以降、パッチポイントの名前にバストラック名が継承されません。

 

既存のパッチポイントを割り当てる

次のいずれかを実行します。

オーディオトラックまたはバスのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから、未設定のパッチポイントを選択します。

オーディオトラックのインプットコントロールをクリックし、未設定のパッチポイントをポイントして、ポップアップメニューから、パッチポイントの左、右、またはステレオチャンネルを選択します。

センドコントロールをクリックし、ポップアップメニューから、未設定のパッチポイントを選択します。

 

メモ：フィードバックループが発生するような形態でのパッチポイント割り当ては、SONARによって自動的に回避されます。フィードバックが発生するようなパッチポイントは、インプットメニューとアウトプットメニューに表示されません。

ヒント：クイックグループを使用すると、同時に複数のトラック/バス/センドを1つのパッチポイントに割り当てることができます。これには、複数のトラックまたはバスを選択し、Ctrlキーを押しながらパッチポイントの割り当てまたは作成を行います。クイックグループの詳細については、クイックグループを参照してください。Ctrlキーを押しながら新しいパッチポイントを作成した場合、新しく作成したパッチポイントに、すべてのセンド/アウトプットまたはインプットが割り当てられます。

 

パッチポイントの割り当てをクリアする

クリアするインプット、アウトプット、またはセンドコントロールをクリックし、ポップアップメニューから
なしを選択します。ハードウェア入力/出力またはバスを選択して、現在のパッチポイントの割り当てをクリアすることもできます。

 

ヒント：クイックグループを使用すると、同時に複数のトラック/バス/センドをクリアすることができます。これには、複数のトラックまたはバスを選択し、Ctrlキーを押しながら、選択したトラック/バスのいずれかからパッチポイントの割り当てをクリアします。クイックグループの詳細については、クイックグループを参照してください。

パッチポイントを削除する

プロジェクトを開くと、プロジェクトで使用されていないパッチポイントはSONARによって自動的に削除されます。パッチポイントは、インプット、アウトプット、またはセンドが接続されていなければ、使用されていないと見なされます。詳細については、パッチポイントの割り当てをクリアするを参照してください。

エフェクトが含まれたオーディオトラックを録音する

1.	オーディオトラックのFXラックに、必要なタイムベースのプラグインエフェクトを挿入します。

2.	オーディオトラックのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。

3.	バストラックを録音待機状態にします。詳細については、トラックの録音待機を参照してください。

4.	録音を開始します。詳細については、オーディオの録音方法を参照してください。

 

複数のトラックを1つのトラックに録音する

1.	新しいトラックに録音するオーディオトラックを選択します。

2.	Ctrlキーを押しながら、選択したいずれかのトラックのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。選択したすべてのトラックが、新しいバストラックに割り当てられます。クイックグルーブの詳細については、クイックグループを参照してください。

3.	バストラックを録音待機状態にします。

4.

録音を開始します。

 

オーディオトラックのセンドエフェクトのみを録音する

1.	オーディオトラックを右クリックし、ポップアップメニューからセンドの挿入 > 新規ステレオバスを選択します。

2.	新しいバスのFXラックに、必要なプラグインエフェクトを挿入し、エフェクトを100%（ウェット）に設定します。

3.	バスのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。

4.	バストラックを録音待機状態にします。

5.

録音を開始します。

 

メトロノームをオーディオトラックに録音する

1.	挿入 > ステレオバスを選択して、オーディオメトロノーム用に新しいバスを作成します。

2.	新しいバスの名前を「Metronome」に変更します。

3.	編集 > 環境設定 > プロジェクト > メトロノームを選択します。

4.	録音時チェックボックスをオンにし、再生時チェックボックスをオフにします（再生時には、録音されたメトロノームが聴こえます）。

5.	オーディオメトロノームを使用を選択します。

6.	アウトプットドロップダウンメニューをクリックし、「Metronome」という名前のバスを選択します。OKをクリックして、環境設定ダイアログを閉じます。

7.	「Metronome」というバスのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。

8.	バストラックを録音待機状態にします。

9.

録音を開始します。

 

メモ：インプットコントロールが表示されていない場合は、トラック表示部の上部にあるトラックコントロールボタンをクリックして、Allを選択します。詳細については、トラックの表示設定を変更するを参照してください。また、トラックを下方向へドラッグして、完全に展開してください。

複数のオーディオトラックのボリュームを1つのフェーダーでコントロールする

1.	1つのボリュームフェーダーでコントロールするオーディオトラックをすべて選択します。

2.	Ctrlキーを押しながら、選択したいずれかのトラックのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。選択したすべてのトラックが、新しいバストラックに割り当てられます。クイックグループの詳細については、クイックグループを参照してください。

3.	バストラックのインプットモニターボタン が有効になっていることを確認します。

4.	バストラックのオートメーションの記録ボタン を有効にします。

5.	再生を開始し、バストラックのボリュームフェーダーを調整します。記録されたオートメーションは、このバストラックに接続されているすべてのトラックに影響します。

 

ギターエフェクトのパフォーマンスをリアルタイムで取り込む

1.	編集 > 環境設定 > プロジェクト > 録音を選択し、マルチトラックグルーピングのすべてのクリップをグルーピングを選択します。

2.	ギタートラックを右クリックし、ポップアップメニューからセンドの挿入 > 新規バストラックを選択します。

3.	バストラックのFXラックに、必要なプラグインエフェクトを挿入し、エフェクトを100%（ウェット）に設定します。

4.	ギタートラックとバストラックの両方を選択します。

5.	Ctrlキーを押しながら、選択したいずれかのトラックのアウトプットコントロールをクリックし、ポップアップメニューから新規バストラックを選択します。ギタートラックとバストラックの両方が、新しいバストラックに割り当てられます。クイックグループの詳細については、クイックグループを参照してください。

これで、トラックは合計3つになりました。オーディオトラックが1つ、バストラックが2つです。

6.	3つのトラックをすべて録音待機状態にします。

7.	録音を開始すると、ドライギター、ウェットギター、ドライとウェットのブレンドのパフォーマンスが、SONARにって同時に取り込まれます。

3つのトラックはグループ化されているため、録音が完了したら、これら3つのトラックをすべて同時に編集できます。

A：ドライギター  B：ウェットギター（エフェクトのみ）  C：ドライギターとウェットギターのブレンド  

パッチポイントが使用されているオーディオをバウンス/エクスポートする

パッチポイントが含まれているプロジェクトをバウンス/エクスポートするには、ミックスに使用するすべてのトラックを選択します。たとえば、バストラックに送る3つのオーディオトラックがプロジェクトに含まれている場合、バウンス/エクスポートを実行する前に、使用するすべてのトラックと共にバストラックも含める必要があります。

パッチポイントおよびバストラックのスマートソロ

パッチポイントに出力するバストラックまたはバスをソロにする際、 SONARがソロ状態になっているすべてのアップストリームおよびダウンストリームトラック/ バスを自動的に管理します。

これにより、パッチポイントを使用する際に、手動で他のトラックをソロまたはミュートにする必要がなくなります。

いくつか例を挙げて、使い方を説明します。

例：アウトプットまたはセンドコントロールから（直接的または間接的に）1 つまたは複数のパッチポイントにルーティングするトラックをソロにすると、回路内のすべてのダウンストリームパッチポイントの音が出ます。

トラック1 をソロにすると、バス1 の音が出ます。

例：インプットコントロールがパッチポイントに割り当てられているトラックをソロにすると、すべてのアップストリームトラックまたはバスの音が自動的に出ます。

バス1 をソロにすると、トラック1 とトラック2 の両方の音が出ます。この際、トラック1 とトラック2を個別にソロおよびミュートにすることもできます。

例：アウトプットまたはセンドコントロールから（直接的または間接的に）1 つまたは複数のパッチポイントにルーティングするトラックをソロにすると、回路内のすべてのダウンストリームパッチポイントの音が出ます。

バスA をソロにすると、バス1 およびトラック1 の音が出ます。

例：バストラックを出力するバスをソロにすると、すべてのアップストリームトラックまたはバスの音が自動的に出ます。

マスターをソロにすると、トラック1、トラック2 およびバス1 の音が出ます。この際、トラック1 とトラック2を個別にソロおよびミュートにすることもできます。

例：複数のパッチポイント/ バストラックにチェーン接続されたトラックをソロにします。

バス2 およびトラック2 をソロにすると、トラック2 のみ音が出ます。

以前のバージョンとのファイル互換性

 

メモ：バストラックをソロにしたことでミュートになったアップストリームまたはダウンストリームトラックは、クリップ表示部ですべて灰色表示され、これらのトラックは音が出ないことを表します。これにより、バストラックをミュートした結果を視覚的にとても把握しやすくなります。バスをソロにしても、トラックは灰色表示されません。

パッチポイントやバストラックを含むプロジェクトは、SONAR Jamaica Plain（Update 9）より前のバージョンのSONARでは開くことができません。以前のバージョンでプロジェクトを開く必要がある場合は、まずプロジェクトのバックアップを作成してから、パッチポイントをすべて解除し、プロジェクトを再保存します。

パッチポイントのインプットを解除するには、パッチポイントを参照しているオーディオトラックのインプットをなしに設定します。

パッチポイントのアウトプットを解除するには、パッチポイントを参照しているトラック/バスのアウトプットをすべて異なるバスまたはなしに設定します。

パッチポイントの割り当てをクリアする詳細については、を参照してください。

 

関連項目：

プラグインシンセのオーディオ録音

デジタルオーディオのルーティングとミキシング

ステレオバス