録音

デジタルオーディオを録音するために、コンピューターはマイクロホン（あるいは何か他の電気音響学的な装置）によって生成された電気の信号をモニタします。その信号は音によって起こるため、信号の強さは、音の波形に直接対応しています。コンピューターはマイクロホンから電気の信号の強さを測り、保存します。これによって波形が録音されるのです。

測定するプロセスには、2つの重要な点があります。1つは、サンプリングレートで、これはコンピューターが信号の強さを測定する頻度です。録音したい音のうち、もっとも高い周波数の音の2倍以上の周波数で信号を計測したりサンプリングしなければならないことは、物理学的に周知の事実です。たとえば、バイオリンのある程度高い音を録音したいとします。それが、「A」の音で、基本的な周波数が440Hz、すべての倍音が基本音の5倍までの音であったとしましょう。録音したいもののうち、最も高い周波数は2,200Hzです。この場合、少なくとも1秒間に4,400回、マイクロホンから電気の信号を計測する必要があります。

人間は、どんなに聴覚が優れている場合でも20kHz程度の周波数までしか聴こえませんが、たいていのサウンドカードやデジタル録音システムでは、それよりはるかに高い周波数が記録できるレートでサンプリングすることができます。現在、ミュージシャンやオーディオ・エンジニアが制作過程でよく使う代表的なサンプリングレートは44.1kHz、48kHz、96kHzおよび192kHzです。44.1kHzのレートは、一般的なオーディオCDで使われるレートであるため、CDクォリティと呼ばれます。

測定するプロセスのもう1つ重要な点は、量子化ビット数です。量子化ビット数は、どれだけ正確にある時刻における振動の変位を測るかを決定します。現在では、音楽業界により、どの瞬間でも波形の振幅に65,536の異なった値を割り当てるシステムが確立されています。このシステムでは、コンピューターによって計測された変位を数値化するのに2バイト（16ビット）を必要とします。なぜなら、-32,768から32,767までの数を表すためには、2バイトを必要とするからです。電気的な信号のレベルを数値化する際の縮尺は、お使いのハードウェアや、入力レベルのコントロールの位置によって決定されます。

たとえば、サンプリングされた信号の振幅が大きすぎて、16ビットの数値ではそれを表すのに十分でないような場合はどうなるのでしょう？このような場合、16ビットで表現できないほど大きな信号は、多くのサウンドカードでは強制的に16ビットの最大の値が割り当てられてしまいます。これをクリッピングと呼びます。

クリップされた波形はこのようになります。

クリッピングは通常望ましいものではなく、不快な音に聞こえます。どんなタイプの波形でも、突然変化がおこると、元の音にポンというノイズが入ったり、歪んだように聴こえます。

 

関連項目：

デジタルオーディオの基礎知識

オーディオの録音